ビジネスだけでなく、一般にも広がったクラウドという言葉。今後、クラウドストレージサービスが普及することで、より身近なものとなっていくのかもしれません。
Google Drive発表 ⇒ 出揃ったクラウドストレージ
2012年4月24日、Googleがクラウドレージサービス「Google Drive」をスタートしました。これにより主要なクラウドストレージサービス
が出揃ったことになります。先行していたDropbox、iPhone4Sの発表と共にスタートしたiCloud、そしてMicrosoftのSkyDrive。概ねクラウドストレージはこの4つのサービスが主要サービスとなりそうです。
ちなみにクラウドストレージとは、自分のPC内に保存するように、Web上にファイルを保存する仕組み。当然クラウドですのでインターネットにつながれば、世界中どこにいても自分の作成したファイルを、どのPCからでも、そしてスマートフォンからでも利用することができます。
クラウドストレージの比較 ⇒ DropBoxは厳しい競争に
主要なクラウドストレージサービスを単純に無料容量、容量追加金額、1GBあたりの値段で比較してみると、以下のようになります。
・Google Drive : 無料5GB + 25GB@月2.49ドル~ ⇒ 1.19ドル@1GB
・Microsoft SkyDrive : 無料7GB + 20GB@年10ドル~ ⇒ 0.5ドル@1GB
・Dropbox : 無料2GB + 50GB@年99ドル~ ⇒ 1.98ドル@1GB
・Apple iClud : 無料5GB + 10GB@年20ドル~ ⇒ 2ドル@1GB
この中でもっとも厳しい競争にさらされるのはDropBoxでしょう。なぜなら、コストパフォーマンスの面をみれば、Google DriveかSkyDriveを選択すればよくなります。特にGoogleはGoogle DocsやPicasaなどの他のサービスと連携もできるため、これまでの延長で利用されるケースが増えるでしょう。逆にiCloudはコストパフォーマンスは一番低いのですが、iPhoneユーザを囲い込んでいるという状況があります。iPhoneで撮影した写真などを自動的にクラウド上に保存する、という仕組みになっているため利便性が高く、多少コストパフォーマンスが悪くても利用される可能性は十分にあります。これらに対し、DropBoxはクラウドストレージ単独でのサービス提供であり、かつコストパフォーマンスも低くなっています。価格改定やサービスの拡充がなければ、ユーザ獲得は難しくなっていくでしょう。もしかしたら、Facebookなどの有力なSNSと組む、といった戦略をとってくるかもしれません。
ローカルストレージは特定ニーズにフォーカス ⇒ シンクライアント化が加速
こうしたクラウドストレージが増えることで、間違いなく影響を受ける分野があります。それはローカル・ストレージ、つまりPCの内臓ードディスクや外付けハードディスクです。単純に価格だけを比較すれば、ローカル・ストレージのほうがコストパフォーマンスは良くなります。例えば、2TBの外付けハードディスは1万円程度で購入することができ、1GBあたり5円(約0.06ドル)で利用できます。
しかしながら、2TBもの容量が必要なことも少なく、すくなくともハードディスクを物理的に取り付けなければ利用できないため、利用できる環境も制限されます。また、オンラインストレージの価格も普及に比例して下がっていくことが予想できます。そうなると、ローカルストレージは、セキュリティや運用のの問題など特別なニーズに対応するためのツール、という位置づけになってきます。そしてローカルストレージの必然性が下がれば、PCも大容量の内蔵ハードディスクは必要なくなり、結果的にシンクライアント化を推し進めることになります。ハードメーカー、とくにストレージを扱ってきたメーカーは大きな変革を求められるのかもしれません。
まとめ:ビッグデータビジネスの加速へ
クラウドストレージは今後、データを保存するための主流のツールとなっていくでしょう。その結果、シンクライアント化は大きく進むんでいきます。クラウドベースで処理が基本的に行えるため、スマートフォンであってもPCであってもほとんど同じことができるようになるのも時間の問題かもしれません。また、クラウド上にデータがたまるわけですから、そのデータを分析するサービスなど、新しいビジネスモデルも今後登場してくることになります。ビッグデータのビジネスはますます加速していくことになるのでしょう。