2012年4月11日水曜日

NOTTTVだけじゃない、「もっとTV」などもスマートフォン向けテレビサービス・スタート ⇒ コンテンツではなくユーザエクスペリエンス提供が鍵


NOTTVがスタートするのとほぼ同時期に、2つの新しいスマートフォン向けのテレビサービスがスタートしていました。スマートフォンは新しいテレビ視聴の媒体として、どのような価値を提供してくれるのでしょうか。

Andres Rueda



  民放5社+電通の「もっとTV」 ⇒ 地上波で見逃した番組をオンデマンドでチェック
4月2日にスタートしたのは民放キー局5社と電通が共同で提供する「もっとTV」サービス対応の機器(パナソニックのTV「ビエラ」、デジタルレコーダ「ディーガ」など)にて視聴可能。地上波での放送を見逃しても、この「もっとTV」を使えば閲覧できるという“見逃しサービス”が目玉で、コンテンツは5000本以上。、4月スタートの各局の新番組が放送後に閲覧可能になります。NHKも参入を検討中とのこと。価格は1本100円~400円程度。この夏にはAndroid2.3以上のスマートフォンやタブレットPCで閲覧できるアプリがリリースされる予定です。




  「フジテレビオンデマンド」もバージョンアップ ⇒ スマートフォン対応開始
「フジテレビオンデマンド」はもともとPC向けに2008年からスタートしていた動画配信サービス。「もっとTV」と同様に見逃した番組をネット配信でチェックできるのが特徴です。この「フジテレビオンデマンド」が4月2日よりスマートフォンにも対応しました。こちらはAndorid2.2以上のスマートフォン、またはiOS4.0以上のiPhoneで閲覧可能。利用金額は月額315~2100円で、追加購入は105~1050円となっています。

ちなみにオンデマンドの先駆者であるNHKの「NHKオンデマンド」もスマートフォンには対応済み。オンデマンド放送、というよりはWebコンテンツはスマートフォンにも対応するのが流れとなっているようです。


  共通キーワードはスマートフォン対応 ⇒ 要はコンテンツだけでなくユーザエクスペリエンス
NOTTVにしても、「もっとTV」にしても、「フジテレビオンデマンド」や「NHKオンデマンド」にしても、ポイントはスマートフォンへの対応。つまり、いつでもどこでも好きな番組が見れる環境を提供すること。そして、視聴コンテンツに対して対価を払う仕組みとなっていること。つまり、これらの新しいテレビサービスの成否は“表面的にはコンテンツが要、ということになります。

しかし、単純に地上波で放送した番組をそのまま流すだけでは、これらスマートフォンに対応したテレビサービスのコンテンツとしては不十分です。地上波で放送したものをそのまま有料配信する、というのであれば“番組を見逃して、かつ録画もしていない”という場合のシチュエーション以外での利用ニーズは低くなります。そもそも論として、ひな壇トークや企業タイアップのネタばかりで似たり寄ったりになっているテレビ番組を、そこまでしてみる人がどれほどいるのかも疑問。ゴールデンタイムの総世帯視聴率(全部のテレビ局の視聴率の合計)も1997年時点で71.2%だったものが、2011年時点で62.7%まで下がっています。

そこで必要なことは、スマートフォンでテレビを視聴するシーンを想定したコンテンツを提供すること。つまり、スマートフォンを通じてテレビを視聴して楽しむ時間を演出する=ユーザエクスペリエンスを提供すること、が必要なのです。ほんの5分の休憩時間、満員電車での移動時間、就寝前にベッドでごろごろ過ごす時間。そういう時間にFacebookやMixiの変わりに、MobageやGreeの変わりに、楽しめるユーザエクスペリエンスの提供が必要です。

テレビコンテンツの使い回しから、新しいユーザエクスペリエンスの提供へと進化できれば、おそらくはスマートフォンを使って見るテレビは広く利用されるサービスの一つになるのではないでしょうか。また、これはテレビに限らず既存のコンテンツが新しいデバイスに対応していくときには、必ず持っているべき視点ともいえるかもしれません。



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