TwittterやFacebookなどのSNSユーザはますます増えており、その裾野は老若男女広がっています。だからこそ、今までとは違った問題が目立ってきています。
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民主党はSNSでの情報発信に“留意” ⇒ 情報発信のジレンマ
2012年4月19日付の産経新聞にて、民主党が党員に対してTwitterやブログでの情報発信を“自粛”するように通達したと報じられました。これに対して民主党は、個人の意見が党の見解だと誤解されないように“留意”を求めたものだと説明しています。
今回の件、“自粛”であるにしろ、”留意”であるにしろ、なぜこのような通達があったのでしょうか。その理由として考えられるのが、SNSの自由度にあります。SNSは個人が自己責任において情報発信を行うメディアです。どんなにルールを厳しくしても、出て行ってしまう情報は出て行ってしまいます。つまり、SNSと関わる以上、組織として不都合な情報が出て行ってしまう可能性はあるのです。そしてその情報が組織に不都合な状態を作り上げる可能性も否めません。民主党であれば、更なる支持率の低下、批判の集中といったところでしょうか。
しかしながら、SNSは政治の透明性を高める、という側面で期待されています。個々の政治家が何を考えていて、どうしたいのかが見えなければ、私たち有権者は支持しようにもイメージでしかものが語れなくなります。SNSを通じて発信される情報は、政治に対する深い理解につながる可能性はあるのです。今の政治は、SNSでの情報発信のメリットとデメリットのどちらをとるか、というジレンマを抱えているのかもしれません。今回の民主党の発表は、政党としてデメリットを排除する方向で動いたものでしょう。
就職活動で学生のFacebookをチェック ⇒ 作られたSNS上のアイデンティティ
昨今の就職活動では、採用担当者が学生のFacebookをチェックすることも少なくありません。面接だけではわからない本人の資質がFacebookから読み取れるからです。こうした動きをうけ、就職活動生がFacebookを良く見せるための対策を行っているケースもあるようです。
・正面からとった笑顔のプロフィール写真
・友だち50人以上
・週2回の前向きな書き込み
を行うことがポイントとのこと。結局のところ、面接をしようが、Facebookを見ようが、就職活動は作られたアイデンティティから個々人の可能性を見出さなければいけないことに変わりはないようです。本来ならばSNSは個々のアイデンティティを表現する場でもあるはずなのですが。
まとめ:求められるのはソーシャルのアイデンティティ
民小党の事例をみると、SNSで必要なアイデンティティは組織に基づくべき、というようにも見えます。しかしながら、就職活動生の事例をみると、SNSのアイデンティティは個人に基づいているほうがいいようにも見えます。とはいえ、どちらも完全に組織を表すものであったり、個人の全てを表すものであったりするわけでもありません。ここで一つの仮説が考えられます。いままで
・公のアイデンティティ : 会社などの組織の一員としての存在、パブリックな存在
・個のアイデンティティ : 一個人としての存在、プライベートな存在
の2つの側面で語られていました。しかしながらSNSが普及したことで、どちらでもない新しいアイデンティティ「ソーシャルのアイデンティティ」が必要になっているのではないでしょうか。組織を代表する意見ではなく、個人の全てをさらけ出すわけでもない、社会で交流をするためのもう一つのアイデンティティ。それを持つことが今の時代には求められているのかもしれません。そしてこのソーシャルのアイデンティティを持ち、維持することが、ソーシャル・リテラシーと呼ばれるものの一要素なのではないでしょうか。