東日本大震災から1年以上がたち、復興に向けた取り組みも盛んになってきました。これを契機に地域活性が進んでいけば、日本も元気になっていきます。ところで地域活性は基本的にどのようなことを考えればよいのでしょうか。その基本的なところを整理してみたいと思います。
一時的な資金投入だけでは効果薄 ⇒ 地域活性の基本は経済の底上げ
地域活性というと、祭りをしたり、B級グルメ大会を行ったりとイベントを行うイメージも少なくありません。ご当地グルメを開発して観光PRを行うこともあります。もちろん、こうした施策は地域活性の一部として必要です。しかしながらそれだけではうまくいかないケースも少なくありません。その理由は、一時的なもの、一過性のものとなっているからです。
地域活性とは、地域社会の活動が活発になり、十分な生活インフラが整備され、雇用が維持され、行政・民間のサービスが充実している状態を作ることが目的となります。その根源は、地域社会自体の経済活動が底上げされていることは必須要件となります。そして経済活動の底上げとは、経済が回っていること=継続的かつ発展的なお金の流れが生まれていることが必要になります。
もちろん、一時的に資金は必要になります。公的資金などを利用してイベントを開催することが必要ないわけがありません。しかし、そのイベントが一過性に終わることなく、経済活動のトリガーをひいて継続的なお金の動きを生み出すようにしていかなければいけません。
地域経済の底上げに必要なことは? ⇒ 3つのお金の流れを作る
それでは地域経済を底上げするためには具体的にどのようなお金の流れが必要なのでしょうか。大きく
・地産地消
・地域外からの誘致
・地域外への販売
の3つが考えられます。
地産地消は文字通り、地域内で生産して地域内で消費するというもの。自給自足のニュアンスが近く、地域内で相互に支えあう経済活動のスタイルです。例えば農作物や水産物などの食料品は地域で生産されたものを地域で食べることで、地域の第一次産業を守る・地域の食文化を守る、といったことが行われています。地域経済の基盤ともいえる要素ですが、地域内の限られた資源の中で経済活動を行うため発展性が乏しいことが課題です。
次に地域外からの誘致。これはいわゆる観光PRや企業誘致が該当します。地域外から当該地域で消費活動を行う人たちを呼び寄せて、経済活動に貢献してもらうというスタイルです。当然、地域外から人を招かなければいけないので、観光資源などのPRポイントが必要なこと、さらにはプロモーション活動が必要になります。ただし、話題性が高まれば地域経済を大きく底上げできる可能性があります。
地域外への販売は、ご当地商品の販売などがあたります。地域外にいる人たちに直接働きかけ、経済活動に貢献して貰うことができます。ただし、こちらも地域やご当地商品の知名度や話題性が必要になるため、プロモーション活動は必要になります。もちろん、話題性さえ得ることができれば、地域経済への貢献は期待度は高くなります。
ポイントは3つの流れの組み合わせ ⇒ 地域ブランドを軸としたシナリオを
「地産地消」、「地域外からの誘致」、「地域外への販売」の3つのお金の流れが基本ではありますが、これらを単発で展開してもあまり高い効果は期待できません。この3つが連動していることが必要になるからです。そのためには軸となる地域のブランドが必要となります。つまり
・地域のブランド・コンセプトを軸にPRし
・地域外から誘致を行い
・誘致をきっかけに地域外への販売機会を作り
・誘致と販売機会を継続するための地産地消を促進し
・地域のブランドを育てる
というシナリオが必要になります。
このとき、当然ながら成功した地域の事例を単純コピーしても成功の可能性は決して高いものになりません。なぜならば、地域のブランドは地域の特性に基づくものであるため、他の地域の成功事例を用いたとしてもマッチするとは限らないからです。ましてや、こうしたシナリオもなくハコモノを作って第3セクターに運営を任せるなどはもっての他です。地域活性を行うためには、地域の特性や背景をふまえたブランド・コンセプトを明確にし、その土地にあったそれぞれのシナリオを作ることが必要なのです。