ICTの発展は私たちの身近な生活のスタイルにも影響します。例えば毎日のお買い物。スーパーの利用方法も変わってきています。
増えているネットスーパー ⇒ インターネットで買い物支援
・24時間受付
・自宅の玄関先まで配達
・店舗で取り扱っている商品なら概ね対応
・ネットスーパー専用の商品も
・最短注文から3時間で商品が届く
・支払いはクレジットカードなどで一括引き落とし
といったところ。イトーヨーカドー、イオン。西友、ダイエーなどの大手スーパーだけでなく、地域のスーパーも実施しています。
このネットスーパーの最大のメリットは、スーパーの店舗まで行かなくてよいこと。つまり、
・高齢者の方
・育児中の方
・障害者の方
などスーパーに買い物に行くこと自体に負担がかかってしまう方に、“買い物の支援”ができるサービスとなっているわけです。もちろん、一般の方にとっても雨が降っているとき、忙しいとき、そもそもスーパーが遠いところに住んでいる場合などに、便利にスーパーを利用することができます。
事業者側は新しいマーケティングデータ ⇒ 顧客がどこにいて・いつ・何が欲しいかが見える
ネットスーパーは利用客にとっては利便性の高いサービスですが、事業者側にとってもメリットがあります。それは“利用客データの収集”という側面から見えてきます。
これまで、スーパーに買い物に来る利用客のデータはレジで入力するデータ程度しか取れませんでした。ポイントカードを導入していても、得られる情報は限定的であり、
・買い物をした日時
・買った商品の個数・売上げ
・利用客の基本データ(ポイントカード登録時入力)
といった程度になります。マーケティングにこれら情報を利用するにしても、どの商品が売れている・売れていない、といった程度の判断にとどまってしまいがちになります。
しかし、ネットスーパーの利用客の場合はかなり異なります。インターネット上ですべて処理され、配送管理も行われるわけですから、見えてくる情報は大きく変わります。
・利用客の居住エリア
・注文時間帯
・配送希望時間帯
・利用客別購入商品履歴
・キャンセル発生の状況
などの情報も見えてきます。これらの情報を分析すれば、
・いつ注文するのか
・どこに住んでいる利用客が使うのか
・どのような人が、どのような商品を注文する傾向があるのか
・いつまでに届けて欲しいのか
・どういった注文でキャンセルやクレームが起きる傾向があるのか
といったあたりの情報も見えてきます。つまり、より高度なマーケティングデータを取得することが可能になるのです。もちろん、このマーケティングデータをベースにサービスの充実を図り、他社との差別化につなげていくことが可能にあります。内容によってはマーケティングデータを他の事業会社に販売する、といったビジネスにもつながります。身近なところにあるビッグデータビジネスの種なのかもしれません。
ネットスーパーも磐石ではない ⇒ 物流とデジタルの格差が最大課題
ネットスーパーは利便性も高く、高齢者や障害者の買い物支援につながり、社会問題解決に貢献する可能性もあります。しかしながら、課題がないわけではありません。
まず、当然ながら配送エリア、つまり物流面での課題があります。スーパーを拠点に配送するわけですし、生鮮食品も扱うわけですから、対応できる範囲が限られます。本来ならばネットスーパーのメリットを享受すべき山村部の集落などで、スーパーからは距離があるためにサービスを受けられない、という事態が発生し得ます。
また、インターネットを使うということが課題になる可能性があります。日本のインターネット普及率が2012年時点で93.8%(総務省発表)に達していても、それはあくまでもインターネットに“つながる環境”があるだけの話。インターネットの使いこなせるかどうかはまったく別。事実、インターネットの私的利用率は57.4%(総務省発表)にとどまっています。パソコンにほこりがかぶってしまっている人は決して少なくありません。インターネットが使えなければ、ネットスーパーがどんなに便利であっても、そもそもその入り口にすらたどり着けないのです。