2012年4月13日金曜日

ニューヨークの公衆電話がスマートスクリーンに ⇒ 地域広告×タブレットでユビキタス広告へ

街角から姿を消していった電話ボックス。携帯電話の登場でその存在意義が徐々に薄れ、電話ボックスどころか公衆電話の数も大きく減りました。しかしITが発達したことで、新しい形で“電話ボックス”は復活するかもしれません。


  ニューヨークのスマートスクリーン計画 ⇒ 公衆電話を32インチのタブレットに
アメリカ・ニューヨーク市は2012年5月より、あるパイロットプログラムをスタートさせます。それは今ある電話ボックスの公衆電話をインターネットに接続したタブレット端末に置き換える、というもの。設置される端末は32インチの「タッチスクリーン」で、ニューヨーク市内の250箇所の電話ボックスに設置されます。将来的にはニューヨーク市内にある屋外の公衆電話1万2800箇所すべてを置き換える予定

このスマートスクリーン計画の特徴は
 ・無料で利用できる ⇒ 地域広告による収益によって運営
 ・地域情報を入手可能 ⇒ 近隣のレストラン、店舗の情報にアクセス
 ・行政サービスにもリンク ⇒ 安全情報、市への苦情受付も
 ・複数言語に対応 ⇒ 世界中から集まる人びとにも便利に
 ・もちろん電話可能 ⇒ Skypeなどで通話
 ・WiFiスポットにも ⇒ 付近に行けば自分の端末も利用可能
といったところ。しかもNew York Postが伝えたところによると、この取り組みにかかるコストは非常に小さく、将来的にはスマートスクリーンからの広告収益はニューヨーク市の財源にもなるとのこと。


  公衆タブレットに眠る可能性 ⇒ 組織の壁を越えて数をそろえれば広告ビジネスに
ニューヨーク市では公衆電話をタブレット(タッチスクリーン)に置き換える、というアプローチでした。しかしタブレットで置き換えていくことができるものは何も公衆電話だけではありません。結局のところ、
 ・人が集まる場所で
 ・ユーザが操作可能な環境をつくれる
 ・情報にアクセスできる(提供する)ツール
ならば置き換えていくことができます。

上記の条件を前提に考えていくと、
 ・駅構内の壁に貼ってあるポスター部分
 ・コンビニにある操作端末
 ・案内所・案内図(観光、デパートなど)
 ・街中にある地図
 ・バス停
 ・店舗の看板
などをタブレット端末に置き換えてしまうことが可能となります。

ただし、収益を獲得することを考えると単に置き換えればいいというものではありません。ニューヨークが財源確保にまでつながるのは、管理可能な端末を最大1万2800箇所以上に設置できることが最大の要因です。つまり、1箇所2箇所を置き換えるだけでは意味は無く、ある程度の数をそろえておくことが必要なのです。


  まとめ:地域広告×タブレットでユビキタス広告へ
ニューヨーク市のスマートスクリーンの計画は今後の広告ビジネスの重要な参考事例となるでしょう。この事例をもとに地域広告×タブレットのビジネスを検討すれば、“いまだけ・ここだけ・あなただけ”のよりピンポイントに効率的に効果を発揮する、ユビキタス広告を実現できるかもしれません。もちろん、そこまでいくにはNFCやセンサーネットワーク、OpenID、データアナリティクスなどテクノロジーの複合的な活用は必要となりますが。

しかしながら、ビジネスとしていくためには広告媒体としての数=管理可能なタブレットの設置数を確保することが必要不可欠です。当然、設置場所の権利はいろいろな組織が持っています。ビジネスとして成立させるためには組織の利害関係を超えて協調関係にまで結びつけることが必要なのです。