2012年4月25日水曜日

Facebookは5月にナスダック上場へ ⇒ 時価総額1000億企業はモバイル分野へ集中投資

少なからず市場に影響を与えることになるFacebookの上場。いよいよその調整も最終段階となってきています。


  Facebookはナスダックに上場申請 ⇒ 評価額は1000億ドル、資金調達は50億ドルか
Facebookは4月23日、米・証券取引委員会に上場申請を提出。これによりハイテク企業が集まる米・ナスダック市場「Global Select Market」に上場することを明らかになりました。上場日は5月17日か24日になる見通し。大方の予想通り、時価総額は1000億ドルになると見られます。時価総額が全てではありませんが、この金額を越える評価を得ている日本企業はトヨタのみ、という点を考えるとFacebookに対する市場評価の高さが見て取れます。

また、今回の上場でFacebookは100億ドル程度の調達を目論んでいる、という話も出ていますが、おそらくは50億ドル程度にとどまる見通し。とはいえ十分に大きな金額ですし、史上最大の資金調達であることに変わりはありません。


  上場申請に伴い最新の業績も公開 ⇒ 積極的な投資活動で前年同期比45%成長
今回の上場申請にあたり、Facebookは第1四半期の業績も発表しています。
 ・売上高 : 10億5800万ドル(前年同期比 45%増 / 前期比 6%減)
 ・純利益 : 2億500万ドル(前年同期比 12%減 / 前期比 32%減)
前年同期比で増収減益となっているのは、コストが6億7700億ドル(前年同期比 97%増)と大はばに増えていることが要因。内訳をみると、マーケティングやR&Dなどが特に大きく増えています。収益拡大にむけた投資活動が活発になっていることが見て取れます。前期(2011年第4四半期)と比較して減収となっているのは、季節変動や前期に発表した新商品投入による一時的変動が影響していると考えられます。減収については、こちらも投資活動が活発化したことが要因でしょう。

なお、これに伴いInstagramの倍主内容についても明らかになっています。金額は10億ドルと発表されていましたが、その内訳は3億ドルが現金、残りが株式で支払う形となっています。株式は30.89ドル相当の普通株2300万株。公開前の評価額で7億ドル相当ですが、上場後その価格は跳ね上がることが予想されます。

また、従業員数についても明らかになっており、2012年3月末時点で正社員数は3539人。一年で1108人増。ちなみに一人当たりの売上高は約30万ドルで前年同期とほぼ同水準。人が増えた分、しっかり成長しているということでしょう。


  Facebookの重要指標も明らかに ⇒ 世界9億人を突破、モバイルユーザは5億人
上場申請と共にSNSとしてのFacebookの重要な指標も発表されました。いずれも2012年3月時点での数字です。
 ・月間アクティブユーザ数 : 9億100万ユーザ
 ・日次アクティブユーザ数 : 5億2600万ユーザ
 ・月間モバイルアクティブユーザ : 4億8800万ユーザ
 ・友だちのコネクション総数 : 1250億コネクション
 ・1日あたりのコメントや「いいね」の数 : 32億回
 ・1日あたりにアップされる写真 : 3億枚
月間アクティブユーザ数はこの一年で33%増、日次アクティブユーザ数は41%増となっています。また、モバイルアクティブユーザ数は4月に入ってすでに5億人を越えているとのこと。世界最大のSNSとしての存在感はさらに強まっています。Open Graphによるビジネスの可能性も一段と高まっているといっていいでしょう。

ただし、これだけのモバイルアクティブユーザを抱えながら、モバイルでのマネタイズはいまいち。この点はこれまでも課題として指摘されており、モバイル広告や決済サービスの提供などを開始しています。


  まとめ:株式公開後、Facebookのモバイルは進化する
株式公開を控えて注目度がさらに高まっているFacebook。史上最大の50億ドルとも言われる資金調達も現実の話となってきました。となると、気になるのが今後の成長。これまでも投資活動を積極的に行ってきていますが、資金調達を受けてさらに大きな投資に動く可能性は十分にあります。

では、どこに投資するのか。これはあまり選択する余地はなく、モバイル分野となるでしょう。5億人ものユーザを抱えていながらも、マネタイズをほとんどしてこなかった分野。ようやくマネタイズを始めたというステータスですが、収益性の改善予知は大いに残っています。今後のO2Oのトレンドにあわせてモバイル分野を軸に投資をしていくことになるでしょう。もしかしたら1~2年後には、FacebookはSNSのメガプレイヤーから、リアルとサイバーをつなぐO2Oのメガプレイヤーとして存在感を増しているかもしれません。



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