2012年4月10日火曜日

Microsoftから次世代技術を活用したセマンティック・マップ ⇒ 利用客に行動シナリオを提供する広告の実現へ

GoogleのARメガネも印象的でしたが、Microsoftも次世代技術のプロトタイプを発表しています。こちらはデジタルサイネージ+Kinectを利用したようなサービス。映画・マイノリティレポートの世界観をそのまま現実にしたようなイメージです。


  Microsftのセマンティック・マップ ⇒ ユーザの状況に合わせた情報提供の仕組みに
Microsotがプロトタイプとして映像を公開しているのがセマンティック・マップユーザの状況、現在位置、ディスプレイまでの距離などによって表示する内容が変わる仕組み。 セマンティック・マップ という名前を使っている通り、 セマンティックWebの技術を利用しているのでしょう。オンライン上にある情報を紐付け、リアルタイムで得られるセンサーからの情報(ユーザがどこにいるか、などの情報)を組み合わせて、今だけ・ここだけ・あなただけのユビキタスな情報を提供してくれるようです。ちなみにデモではオフィス内での案内表示を行ってます。
   


  マーケティング利用の用途は広い ⇒ 利用客の行動シナリオを提供する新しい広告の仕組みにも?
セマンティック・マップをマーケティングに利用した場合を想定してみると、その用途はかなり広そうです。例えば、JR東日本ウォータービジネスがJR東日本駅構内に設置しているデジタルサイネージ型の自動販売機。これに セマンティック・マップ を搭載すれば、単に“ジュースを売るだけの自動販売機”という枠組みを越えた広告ビジネスが可能になります。まず、単純にジュースを買うと同時に駅構内の案内を表示して利用客を誘導することができます。また、最近増えている飲食店舗(ターリーズコーヒーなど)のコラボ商品を買った場合には、店舗のPR情報を利用客の行き先に合わせて表示することもできます。「お帰りの際には○○店で一息つかれては?」なんてメッセージが出てくるかもしれません。自動販売機がジュースの販売以外で収益を獲得する可能性が出てくるわけです。

自動販売機に限らず、デジタルサイネージだけでみてもビジネス的な可能性は広がりそうです。曲がるディスプレイなども登場していますし、iPadのようなタブレットを小型ディスプレイとして利用すれば、どこにでもサイネージは設置することができます。これらのディスプレイに対し、画一的に広告情報を流してその時間の枠を売るだけでは、今までの紙広告と対して差がなくデジタルサイネージとしてのメリットは活かしきれません。しかし、 セマンティック・マップを利用すれば、一人ひとりの状況×時間帯×場所にあわせて広告内容を変えることができます。街中にあるデジタルサイネージが、Amazonの“オススメ商品”のように利用客によって違う内容が表示されるのです。

さらにこの セマンティック・マップ と、個人が持っているスマートフォンなどのデバイスがリンクするようになればどうなるでしょう。Wazeの事例でも紹介したような、イベント会場への誘導がより効果的になる可能性が考えられます。決済システムと配送システムがリンクすれば、たとえばディスプレイの前で欲しいと思った商品をチェックしたら、その場で支払いを完了して、帰りに近所のコンビニで受け取れる、または帰宅時間に合わせて自宅に届く、なんてこともできるかもしれません。情報を発信するための広告から、利用客の行動を喚起して購買活動に紐付けるシナリオを提供する広告へ、この セマンティック・マップ は進化させる可能性があるのです。