日本経済新聞出版社
発売日:2010-04
以下、要点と解釈です。
国際会計基準(IFRS)とは
国際会計基準は、世界の企業を同一の基準で評価するための会計上のルール。
日本の企業はこれまで日本独自の会計ルールで運用してきましたが、経済がグローバル化し、日本企業の海外進出・日本への外資起業の進出も多きなったことをうけ、その必要性が唱えられています。
IFRS導入の影響
IFRSを導入することで、企業は会計ルールが変わることになります。つまり、今までの企業会計の業務やシステムの変更が余儀なくされます。当然、それ相応の業務開発(業務の流れの修正)、システム開発、人材開発が必要となります。要はお金と時間がかかるのです。
ただし、国際レベルで会計の評価・判断基準が統一されるため、海外の投資家からの資金調達が今までよりも楽になるメリットがあります。厳密には、日本独自のルールを理解しなくていいわけですから、海外の投資家にとって日本企業への投資のハードルが下がるわけです。
また、海外企業とのM&Aもやりやすくなります。IFRSは財務の透明性を高める会計ルールでもあります。財務上のテクニックを駆使して、財務諸表上はきれいに見せておく、ということがいままでの日本の会計ルールに比べるとやりにくくなります。つまり、企業評価が適正にできるようになります。この透明性に加えて国際的な共通の評価軸で見るわけですから、M&Aを行うメリット・リスクの分析も取りやすくなります。
日本での適用時期
日本は2012年現在、IFRSを適用するか否かは企業が任意で選択できるようになっています。今後、強制適用がされることになりますが、その時期は今のところ2017年3月以降といわれています。
ただし、適用時期は少し先ではあるものの。強制されるまで適用しなくていい、というものでもありません。国内の事業活動が主とする企業であれば問題ありませんが、海外に展開して資金調達もM&Aもグローバルで行っている企業は、強制適用の有無に関わらずIFRSを導入しておくほうがメリットがあります。IFRSを適用するか否かは、企業の戦略に基づくべきなのでしょう。